藤田嗣治の事前知識が、フランス、アッツ島玉砕、くらいしかなかったんですけど、大変な人だったんですね…
ということが展示でわかりました。
なんというか…日本に裏切られているような、そんなかわいそうな印象が
始めのほうにある風景画は、なんかどんよりと曇っていて物悲しさ漂う感じだなと思いました。すごい曇り。
裸婦の作品が多いんですが、乳白色の下地を活かした彩度低めの色使いで、しっとりしている感じが
見てる途中で気付いたんですが、裸婦って簡単そうに見えて、肌という何もないものに影や質感を付けるのって実は難しくないか!??って思いました…
あと裸婦と猫の組み合わせめっちゃ可愛いんですけど
自画像の猫の顔の角度めちゃくちゃ好きです…何あの顔…可愛い… 猫好きなんだなあと思いました。
基本的に彩度低めな絵が多いんですが、ある時期からちょっと色味のある絵も描くようになってて、
中国を旅行したときに描かれた力士の絵の迫力がすごかったです。
どしっとした色使いで、力士の顔のいかつさが…
戦争画は思ったより少なかったんですけど、でもやっぱりアッツ島玉砕の存在感ははんぱなかったです…見るのにエネルギーがいるというか、なんというか圧倒的なんですよね…
公開されたときは絵の前で涙を流して合掌する人もいたようで、気持ちわかります。
たぶんそういう人たちの念みたいなものを絵が吸い込んでる気がして、見てるとずっしり来るんですよ…
裸婦の白く淡い色使いとは打って変わって、どろどろとした赤茶色の色使いが対照的でした。
雰囲気もまた、裸婦は柔らかく、丸く、冷たい感じなんですが、戦争画のほうは強い念を込めて練り上げたかのような色と、どろっとした雰囲気と、ある種の汚さ?みたいなのがありました…
フランス国籍を取得して、洗礼を受けて、宗教画を描くようになって、という流れの中で、宗教画に自分と奥さんを組み込んで描いていたのが印象的です
作風は結構いろいろあるような印象を受けたんですけど(ゴッホ風の絵を描いたり、ピカソみたいなキュビズムの絵を描いたり)、でも根本にある「藤田嗣治」本人の画風は変わらないような印象を受けました。