副題が「近代ヨーロッパの光と影」なんですが、この展覧会は光と影、都市と田舎、といった対比を感じるものになっていました。
最初のほうに展示されている絵からは、こがね色のフィルターを描けたように落ち着いた温かみを感じました。
羊の毛を刈る人だったり、木陰で休む少女だったり、田舎の空気…素朴だけどゆったりとした、何にも縛られない時間が流れているようで…。
この木陰で休む少女の絵は、ミレーの「木陰に座る羊飼いの娘」なんですが、膝に落ちる木漏れ日がきれいで温かくてこの展覧会の絵の中で個人的に一番じんわり来ました…。
展覧会の中で、都会の風景はどんどん移り変わって行きます。厳しい労働が機械化されたり、ファッションも流行り廃りあったり、今までなかった建物やお店ができたり…。都会の人々もだんだん病んでいくというか、時代に翻弄されてる感あります。
一方で田舎の空気はいつでもゆったりとしています。緑が広がる丘があり、人々は朗らかで…。
都会の移り変わりと、都会に住む人の心の移り変わりがなんだかせわしない感じで。
この展覧会のポスターにある、ルノワールの「プージヴァルのダンス」、これの中にも都市と田舎があるそうです。
女性の服装は当時流行していたドレス、男性の服装は田舎で一般的だった服装で、このふたりがダンスを踊っているという構図…
この絵とても大きくて圧倒されるんですが、押しつぶされそうという感じではなく取り込まれそうという感じ…。ダンスを踊る男女の後ろで談笑する人々のざわざわした話し声とか音楽とか聞こえてきそうです。
機織りをするおばあさんの絵があったのですが、大きくて、手の皺や陰影がとてもリアルで、呼びかけたら振り返ってくれそうな気配さえ感じてしまいました。
第一次世界大戦に従軍した画家の作品で、モノクロで荒々しいタッチでざっくりと森?を描いたものがあったのですが、塹壕や有刺鉄線といった第一次世界大戦を象徴するようなものが見てとれて面白かったです。
従軍画家は、大戦前と大戦後では作風が変わるらしく、戦争が与える影響がどれくらいのものなのか気になりました。
絵だけではなく写真もあります!よ!
ちょうど写真が記録ではなく芸術として扱われるようになった時代なんだそうです。
絵ばかり見ていると、綺麗すぎて、現実にこんな感じの風景があったんだということを忘れてしまいそうでしたが、写真を見てみるとリアル感が迫ってきて…。不思議だなと思いました。
写真がそうでないと言いたいわけではないのですが、絵は良くも悪くも描き手の気持ちがかなり反映されるので、ただ風景を描いた作品にも個性が宿るというか…。
なんとなく夢見心地というか、浮世離れした絵の中、写真の冷静さやリアルさはアクセントになってよかったです。
どの絵も構図の切り取り方がすっごい上手いな!!?と思いました。
構図大事だ…これから絵を描くときは気を付けたい。
会期8月21日までと長いですしぜひぜひ!私もまた行きたいです。
ボストン美術館は何度か行っていて、ちょっとお気に入りなんですよね…。